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クラシック音楽を愉しむ

作曲家や曲の紹介、ピアノ奏法の分析等。時代やジャンルにとらわれず、多様な作曲家や音楽を聴き、弾き、語ります。より多くの人に、より多くの作品と作曲家を広める事を目的として綴ります。

スクリャービン 人物と作品

今回はアレクサンドル・スクリャービンについて書きます。

1872年生まれの、ロシアの作曲家です。近代音楽に該当します。まさに近代音楽といった作風です。

有名な作曲家ですが、クラシックに興味が無い人達に知られている程有名ではありません。

ロシアの代表的な作曲家の一人です。

非常に独特、難解な音楽を作っていて、苦手意識のある人も少なくありません。

しかし、初期の頃は非常にロマンチックな、ショパン風の聴きやすい曲を書いています。

初期から中期、後期と時間の経過と共に、作風が非常に大きく変わった事も一つの特徴です。

スクリャービンがどのような人だったのかという事と、作風の変化をいくつかの作品を交えて紹介していきます。

 

モスクワの小貴族の生まれで、彼の母親はテオドル・レシェテツキというピアニストに師事していました。レシェテツキは、練習曲で有名なツェルニーに師事しています。

つまり間接的にツェルニーに関係があるわけですが、母親はスクリャービンを産んですぐに死んでしまったので、音楽的な繋りはありません。スクリャービン自身はズヴェーレフにピアノを、タネーエフに作曲等を師事していました。タネーエフは

チャイコフスキーに師事しているので、スクリャービンの作曲についてはチャイコフスキーの系譜と言えます。また、タネーエフに師事した他の作曲家には、ラフマニノフグラズノフプロコフィエフメトネルなど大作曲家が多くいて、その全員が同門と言えます。

元々即興演奏を好んでおり、14歳の頃からそれらの作品を楽譜を残すようになりました。最も古い作品は11歳の頃のカノンです。

14歳の時、幻想ソナタピアノソナタ変ホ短調等を作曲しています。この幻想ソナタピアノソナタ2番と呼ばれますが当時未完成で、本人は即興で補完しつつ演奏していたと言われています。また、ソナタ変ホ短調は録音が少なく現在でも少しマイナーですが、ショパンの影響がとても強く聴きやすい作品です。

この頃に作曲された作品の内、演奏される機会が多いのは練習曲 op.2-1と幻想ソナタとです。ここでは練習曲を紹介します。


Scriabin Etude Op.2 No.1 (Horowitz)

 

練習曲のイメージとはかけはなれた穏やかな作品で、演奏難易度も低めです。

私は、14歳とは思えない大人びた作品だと感じます。

 

 

この後、モスクワ音楽院に転学し、ピアノをサフォーノフ、作曲をアレンスキーに学びます。スクリャービンの作品全体に共通する複雑なペダル操作はこのサフォーノフの影響と言われています。アレンスキーは連弾の曲で有名ですね。

ピアノ演奏技術はかなり高く、卒業試験では1位がラフマニノフ、2位がスクリャービンだったそうです。

ラフマニノフは作曲家として、スクリャービンはピアニストとして有望視されていました。

また、教本をよく読む人は知っているかもしれませんが、レヴィーンという演奏家も同級生で、ラフマニノフを含め数名で超絶技巧の競争をしていたそうです。

スクリャービンは手が小さく、周囲の人は皆手が大きかった為、その競争で無理をしすぎて右手が壊れてしまいます。

その右手が回復するまでずっと左手の特訓をしていたため、左手の技術が非常に高くなりました。

スクリャービンの特徴の一つである、右手以上に大変な左手の難しさはこれが理由です。

この頃、左手のための曲を作曲します。


Alexander Scriabin - Prelude & Nocturne for the Left Hand, Op. 9

 

 

その後、1891年にベリャーエフと親交を結びます。スクリャービンの楽譜はベリャーエフ版が良いと言われますが、これはこのベリャーエフが企業した出版社です。

ピアノソナタ1番は1892年に作曲されます。ピアノソナタスクリャービンの作風の変化が非常に強く出ています。

余談ですが、今出版されている全音の楽譜はベリャーエフの物のコピーなので、わざわざベリャーエフを選ぶメリットはほぼありません。

 

 

1900年の頃から哲学、神智学に影響されはじめます。

1900年に作曲された幻想曲はロシアでは非常に人気なようです。

これはピアノソナタ3番と4番の間に書かれた曲です。

とても美しい旋律で、ロマン派と近代の中間といった雰囲気の作品です。


Scriabin - Fantasie Op. 28 (Roberto Szidon) - Full Sheet Music

 

数年後、1907年にピアノソナタ5番を作曲します。傑作と呼ばれよく演奏されます。


Scriabin: Sonata no. 5, Op 53 (Richter) HQ version

まさにスクリャービンといった、不健康で官能的な雰囲気が表われています。

スクリャービン中期の幕開けと言われています。

この少し前くらいから神秘和音と呼ばれる和音を多用しはじめます。これもまたスクリャービンの特徴の一つです。

この後さらに作品はが複雑になっていきますが、記事が長くなりすぎるので一度ここで終了します。

 

また神秘和音など、解説出来ていない所が多いのですが、それはいずれまた記事にします。

最後におすすめの録音ですが、全集ならマリア・レットベリの物をお勧めします。

 

Scriabin: Das Solo-Klavierwerk

Scriabin: Das Solo-Klavierwerk

 

全体的に良い演奏ですが、ピアノソナタだけはキレが悪く微妙なので、別のCDをおすすめします。

 もっと安い録音もありますが、これも決して高くはないと思います。

全集以外ではソフロニツキーがお勧め。

 

ロシア・ピアニズム名盤選-17 伝説のスクリャービン・リサイタル(1960年2月2日)

ロシア・ピアニズム名盤選-17 伝説のスクリャービン・リサイタル(1960年2月2日)

 

 

ソナタ集はアシュケナージピアノソナタ1番に限ればアムランもお勧めです。

スクリャービン / ピアノ・ソナタ全集

スクリャービン / ピアノ・ソナタ全集

 

 

Complete Piano Sonatas

Complete Piano Sonatas

 

アムランはスクリャービンらしくありませんが、スクリャービンを演奏しようと思っている人が参考にするという意味では一番良い物だと思います。

音楽的にはソフロニツキーが良いですが、ソナタを纏めて買える事を含めるとアシュケナージをお勧めします。

 

この記事は以上となります。

ここまで読んでいただきありがとうございました。